焼き菓子と小さなカフェtutui

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神藤さんのエッセイはじまります*

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こんにちは。
tutuiの石倉です。

飯田市の神藤啓介さんによるエッセイを今後2週間に1回位のペースで5回程tutuiホームページに掲載させていただく事になりました。
神藤さんは以前からtutuiのカフェにて、小説を読んだり、書いたりとされていた方で、今は「啓榕社」という名で、焙煎小屋の自作からはじめてコーヒーの焙煎、イベント出店やラボの開催などを通して、「仕事の在り方」を模索されています。
他小説の創作なども行っている方です。

今回が第1回目となります。
それでは神藤さんのエッセイをお楽しみください*

「カンゲキ シネマズ ① 『はじまりのうた』」

市内の千劇シネマズで公開された『スターウォーズ』、そのシリーズにも出演していたキーラ・ナイトレイ主演『はじまりのうた』のなかで、グレタ(キーラ演じるシンガー)とダン(落ちぶれたプロデューサー)が一つのイヤホンを分けあって、お互いの好きな歌を聞きながら夜のNY市内を踊り歩くシーンがある。二人はその足でクラブにイヤホンをしたまま飛び込んで、周りがDJにあわせて踊るなか、二人だけに聞こえている音楽に合わせて踊った、そこで僕は泣きそうになった。いい音楽とは?その答えは幾つもあるだろう、間違いなくその一つがここにあって、それは「身体が動きたくなるのを止められない」ということでした。NY中をスタジオに見たてて、寄せ集めの仲間とゲリラでレコーディングしたCD(この場面は他にも、何かを始める時アレが無いと無理とかこうじゃないと駄目なんてものがただの思い込みであることを、とてもクールにチャーミングに見せてくれる)が完成したお祝いのパーティで、すし詰めの部屋のなかスティービー・ワンダーをかけて「踊るのを我慢する」ゲームを始める。案の定誰も我慢出来なくて踊り出しちゃうわけだけど、それがこの映画が流れてるあいだ、観ている僕にも伝染してしまうという幸福な体験に包まれていた(そういう意味では同じ音楽を扱った映画でも、『セッション』のそれはどれほど超絶技巧の激しいドラムであっても身体は動き出さないのでした)。
それからもう一つ。iPhoneをマイク替りにセロテープでくっつけて歌ったり、レコード会社との契約を断ったり、最終的に1ドルでアルバム全曲を開放してしまったりと、グレタが自分にとって一番大事なことに背を向けなかった、それこそが人生が豊かになるんだと教えてくれます。この側面において、『ソーシャルネットワーク』と合わせて、この春新しいことを始めるにはもってこいの季節にぜひ観たい映画でした。