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カンゲキシネマズ⑤ 『ブンミおじさんの森』

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こんにちは。
tutuiの石倉です。
神藤さんのエッセイ最終回の第5回目です。
このエッセイは最終回となりますが、また違った形で神藤さんの読みものをお届けしたいと思っております。また詳細決まりましたら、HPにてお知らせいたします。


カンゲキシネマズ⑤  『ブンミおじさんの森』

 もうお気づきの人もいると思いますが、タイトルの「カンゲキシネマズ」は飯田市内の映画館、「千劇シネマズ」に観劇と感激をかけて、勝手に千劇の宣伝をしてしまおうという裏テーマを設定しています。なので、選んだ映画も千劇で上映中か上映予定の作品になにかしら繋がりのあるものにしてきました。でも、今回は完全に僕の好み全開です。

アピチャッポン・ウィーラセタクン 『ブンミおじさんの森』
2010年、タイの映画。まだ日の出前の朝靄がかったタイの山奥の田園風景に虫や鳥の鳴き声が響くなか、森に逃げだす牛。引き戻しにくる牛飼。深い森のなかで、何かを見つめている赤く光る二つの目。超スローテンポで進む、濃密で、瑞々しい映像。この最初の6分に持ってかれた。

農園を営む腎臓病のブンミおじさんは死期を悟って森に入っていく、その過程で前世が語られるというあらすじだけど、そのストーリーはきれいに一本に流れていかない(というか、映画みたあとで知った)。
19年前に死別した妻が幽霊となって現れると思えば、失踪していた息子が毛むくじゃらの猿みたいになって戻ってきて当たり前のように受け入れられる。突然、いつの話かわからないお姫様の挿話が差し込まれたり、登場人物がいきなり分身して、そのまま原因も説明もなく当然のように映画は進んでいく。そんな荒唐無稽なことが、ユーモアたっぷりに、緩やかな時間経過と濃密な森の息吹に包まれてたちあがってくる。まるで、森そのものみたいな映画。
それぞれのルールで生きている動物や植物がからまって出来ている森の時間が一つのストーリーにまとめられる前の、物語以前の物語。映画が終わった時、なぜかとても清々しい気持ちになっていた。身体が森林浴したみたい。実際、映画館で寝てしまった人が多いそう。
今の生活や社会に何となく息苦しさを感じてる人、つまり多分全ての人に是非観てほしい。途中で寝ちゃったほうが、よけいにスッキリしそうです(笑)。5/15、松本シネマセレクトでアピチャッポン監督の新作「光りの墓」が上映される。この日だけは、絶対に予定を入れずに必ず観に行きます。」